耐震補強への道のり ~耐震改修工事編~
耐震改修工事の助成制度について
STEP4 耐震改修工事
耐震改修工事の目標値について
耐震補強設計が終わるといよいよ耐震改修工事に移行しますが、耐震改修工事をする上で、耐震性能の目標値をどこに定めるのが良いのかをしっかり考える必要があります。
STEP2の診断書の判定値を思い出してください。
| 判定値 | 耐震性の目安 |
|---|---|
| 1.5以上 | 比較的高い。倒壊しない。 |
| 1.0~1.5未満 | 一定の耐震性がある。一応倒壊しない。 |
| 0.7~1.0未満 | 耐震性に不安がある。倒壊の危険性がある。 |
| 0.7未満 | 耐震性が低い。倒壊する可能性が高い。 |
判定値1.0以上で「一応倒壊しない」という判定になり、自治体の助成金の取得できる目標値も1.0となっています。
ここでの判定値の1.0という数値は、昭和56年改正の新耐震基準で求められる最低限の耐震強度がある建物の強度を1.0とした場合の強度の比率とされており、上部構造評点が1.0以上であれば、新耐震基準において最低限必要な構造耐力があるという判断(目安)になります。
建築基準法では、数十年に一度の頻度で発生する地震(震度5強程度の中規模地震)に対して、ほとんど損傷しない(継続使用可能レベル)、数百年に一度程度の極めて稀に発生する地震(震度6強~7程度の大地震)に対して倒壊しない(損傷はするが、倒壊しないレベル)ことを人命を守る最低基準として定めており、最低限必要な構造耐力がある判定値1.0というのは、建築基準法と同等レベルを表しています。
しかしながら2016年の熊本地震では、本来建物の寿命の中で1回遭うか遭わないかの大地震が、前震、本震と2回の震度7が発生し、一部の新耐震基準の木造住宅にも大破や倒壊など復旧不可能な被害が発生しました。
一度目の前震では、無事だったものの、2回目の本震で大きな損傷・被害を受けた建物が多かったということで、1.0という目標値では繰り返しの地震に対しては必ずしも安全な数値とは言えず、「一応」とは一度目の大地震には建物内の人命は守ることはできると想定しているが、そのままでの継続使用は難しいかもしれないレベル、と解釈できる。現在では新耐震基準の建物にも無料耐震診断が拡張するなど、自治体によって検証が進められています。
弊社でも、自社設計の耐震等級3の新築物件を同じ耐震設計ソフトにより解析しますと、判定値が最低でも1.9以上を指していますので、より安全性を求めるのであれば、1.5以上を目標値とすることが望ましいと考えています。
しかしながら新築物件と違い、既存住宅を対象とした耐震補強では、既にある間取りや、予算の都合から、必ずしも理想通りの数値が得られないこともありますので、判定値の数値の意味をしっかりと理解した上で、設計士やビルダーと目標値を定めることが重要になります。
耐震改修工事助成制度を活用し、コストカットしよう。
名古屋市における耐震改修設計助成制度が利用できるのは以下の場合です。
- 名古屋市木造住宅無料耐震診断の結果、判定値が1.0未満の住宅→※名古屋市の無料耐震診断を受ける必要がある
- 名古屋市内にある昭和56年5月31日以前に着工された、2階建て以下の住宅(戸建て、長屋、共同住宅)
- 住宅以外の用途に使用している面積が延べ面積の2分の1未満の住宅
- 適法で適切に納税されている住宅(※申請時に、固定資産税の納税証明書などの公的書類を提出する必要がある)
補助申請者
- 対象住宅の所有者(複数いる場合はその代表者)
- 所有者が亡くなられている場合や名義変更が済んでいない場合は自治体に要相談
補助対象
補助対象工事には【一般改修】と【段階的改修】の2種類があり、段階的な耐震改修工事や構造上別棟がある場合などで部分的な耐震改修工事を実施する場合は、将来的に全体の耐震改修工事を実施することを勧めている。
【一般改修】
住宅全体の判定値を1.0以上にする工事(0.3以上判定値が加算されること)
【段階的改修】
- 1段階目:住宅全体の判定値を0.7以上1.0未満、又は2階建ての1階の判定値を1.0以上にする工事
- 2段階目:住宅全体の判定値を1.0以上にする工事
補助金額
- 耐震改修工事費の5分の4以内で、以下の金額まで
- 先に名古屋市耐震シェルター等設置補助金を受けた場合は、名古屋市木造住宅耐震改修工事補助金の全額を受けられない場合があります。
- 【リ・バース60】耐震改修利子補給制度を利用する場合は、補助金限度額が異なります。
| 改修工事区分 | 一般世帯 | 非課税世帯 |
|---|---|---|
| 一般改修 | 最大115万円 (1住戸当たり) |
最大165万円 (1住戸当たり) |
| 段階的改修 1段階目 | 最大60万円(1住戸当たり) | 最大85万円(1住戸当たり) |
| 段階的改修 2段階目 | 最大55万円(1住戸当たり) | 最大80万円(1住戸当たり) |
非課税世帯:建物所有者の世帯全員が、過去2年間、市民税の課税を受けていない世帯
- その他、細かい注意事項や、その年度ごとに期限がありますので、詳細は名古屋市のHPを確認してください。
制度の最新情報・詳細はこちらからー名古屋市HPリンク
注意事項 ー弊社の過去の工事事例からー
この助成制度は木造住宅を対象にした助成制度で、昔の建物の中には稀に、大きなスパンを飛ばした部屋などで、鉄骨の梁を在来工法と組み合わせて作られた住宅がありますが、弊社もそのような案件があり、耐震化支援室に相談したところでは、1本なら「木造住宅」として認めますよ、という回答でした。もちろん個別事例になるので、明確な規定があるかはわかりませんし、ケースバイケースなのかもしれませんが、2本以上の鉄骨材が含まれていると「木造」ではなく「混構造」ということになりますので、昔の建物で1階部分の部屋が4m×4m以上の広さがあるようなものは、ひょっとしたら鉄骨の梁を使っている可能性があり、この助成制度が利用できなくなることも念頭に置いた方が良いでしょう。図面等記載があり、事前にわかっていればよいのですが、昔の建物は図面の通りできていないこともありますので、精密診断法による調査時に、しっかりと住宅の構造や、図面との整合をチェックしてもらうことが大切です。
補助金交付を受けるためには、その年度の2月末に工事完了報告ができないと、自治体も決済ができないため補助が受けられなくなります。規模によって工事を行う期間も変わるため、工事を行う業者と、時期について相談しましょう。
助成制度のまとめ
今回ご紹介したのは、弊社所在地の自治体である名古屋市の助成制度となります。物価の上昇の大きいご時世ですから上手に利用し、少しでもお得に耐震リフォームしましょう。
耐震診断から耐震補強工事までのフローは大きく4つです。
- 耐震補強設計や補強工事が得意な専門家に相談する
- 耐震診断を受ける(年代によっては自治体で無料で受けられる)
- 結果を踏まえ、耐震リフォームなら目標値と予算を確認して補強計画に入る(建てられた年代によっては、助成制度が受けられる)
- 補強計画の内容と工事の予算の折り合いがついたら工事契約、工事着工(建てられた年代や設計内容によっては、助成制度が受けられる)
木造住宅の耐震性の不安については、木造住宅のプロに依頼するのが1番確実です。
新築だけでなく、幅広い年代の木造住宅のリフォームにも携わってきた久野工務店だからこそ、対応可能な技術力があります。
設計も施工も自社内で行うため、ご相談から、耐震設計、補助金の申請手続き、工事完了までワンストップで完結します。
無料耐震診断の対象ではないけれど、自分の住宅は大丈夫だろうか?と心配になられる方については、下部問い合わせフォームよりぜひ一度ご相談ください。