耐震補強への道のり ~耐震改修工事編~
耐震改修工事について
STEP3 耐震改修工事
耐震改修工事の目標値について
耐震補強設計が終わるといよいよ耐震改修工事に移行しますが、耐震改修工事をする上で、耐震性能の目標値をどこに定めるのが良いのかをしっかり考える必要があります。
STEP2の診断書の判定値を思い出してください。
| 判定値 | 耐震性の目安 |
|---|---|
| 1.5以上 | 比較的高い。 |
| 1.0~1.5未満 | 一定の耐震性がある。 |
| 0.7~1.0未満 | 耐震性に不安がある。耐震改修を検討する必要がある。 |
| 0.7未満 | 耐震性が低い。耐震改修を検討する必要がある。 |
※判定値は耐震性を判断するための目安です。地震による被害を補償するものではありません。
ここでの判定値の1.0という数値は、建築基準法昭和56年改正の新耐震基準で求められる最低限の耐震強度がある建物の強度を1.0とした場合の強度の比率とされており、上部構造評点が1.0以上であれば、新耐震基準において最低限必要な構造耐力があるという判断(目安)になります。
建築基準法では、数十年に一度の頻度で発生する地震(震度5強程度の中規模地震)に対して、ほとんど損傷しない(継続使用可能レベル)、数百年に一度程度の極めて稀に発生する地震(震度6強~7程度の大地震)に対して倒壊しない(損傷はするが、倒壊しないレベル)ことを人命を守る最低基準として定めており、最低限必要な構造耐力がある判定値1.0というのは、建築基準法と同等レベルを表しています。
しかしながら2016年の熊本地震では、本来建物の寿命の中で1回遭うか遭わないかの大地震が、前震、本震と2回の震度7が発生し、一部の新耐震基準の木造住宅にも大破や倒壊など復旧不可能な被害が発生しました。
一度目の前震では、無事だったものの、2回目の本震で大きな損傷・被害を受けた建物が多かったということで、1.0という目標値では繰り返しの地震に対しては必ずしも安全な数値とは言えず、一度目の大地震には建物内の人命は守ることはできると想定しているが、そのままでの継続使用は難しいかもしれないレベル、と解釈できる。現在では新耐震基準の建物にも無料耐震診断が拡張するなど、自治体によって検証が進められています。
弊社でも、自社設計の耐震等級3の新築物件を同じ耐震設計ソフトにより解析しますと、判定値が最低でも1.9以上を指していますので、当社ではより安全性を求めるのであれば、1.5以上を目標値とすることをお勧めしています。
しかしながら新築物件と違い、既存住宅を対象とした耐震補強では、既にある間取りや、予算の都合から、必ずしも理想通りの数値が得られないこともありますので、判定値の数値の意味をしっかりと理解した上で、設計士やビルダーと目標値を定めることが重要になります。
耐震改修工事助成制度を活用しよう。
名古屋市における耐震改修工事助成制度が利用できるのは以下の場合です。
- 名古屋市木造住宅無料耐震診断の結果、判定値が1.0未満の住宅→※名古屋市の無料耐震診断を受ける必要がある
- 名古屋市内にある昭和56年5月31日以前に着工された、2階建て以下の住宅(戸建て、長屋、共同住宅)
- 住宅以外の用途に使用している面積が延べ面積の2分の1未満の住宅
- 適法で適切に納税されている住宅
補助申請者
- 対象住宅の所有者(複数いる場合はその代表者)
- 所有者が亡くなられている場合や名義変更が済んでいない場合は自治体に要相談
補助対象
補助対象工事には【一般改修】と【段階的改修】の2種類があり、段階的な耐震改修工事や構造上別棟がある場合などで部分的な耐震改修工事を実施する場合は、将来的に全体の耐震改修工事を実施することを勧めている。
【一般改修】
住宅全体の判定値を1.0以上にする工事(0.3以上判定値が加算されること)
【段階的改修】
- 1段階目:住宅全体の判定値を0.7以上1.0未満、又は2階建ての1階の判定値を1.0以上にする工事
- 2段階目:住宅全体の判定値を1.0以上にする工事
補助金額
- 耐震改修工事費の5分の4以内で、以下の金額まで
- 先に名古屋市耐震シェルター等設置補助金を受けた場合は、名古屋市木造住宅耐震改修工事補助金の全額を受けられない場合があります。
- 【リ・バース60】耐震改修利子補給制度を利用する場合は、補助金限度額が異なります。
| 改修工事区分 | 一般世帯 | 非課税世帯 |
|---|---|---|
| 一般改修 | 最大115万円 (1住戸当たり) |
最大165万円 (1住戸当たり) |
| 段階的改修 1段階目 | 最大60万円(1住戸当たり) | 最大85万円(1住戸当たり) |
| 段階的改修 2段階目 | 最大55万円(1住戸当たり) | 最大80万円(1住戸当たり) |
非課税世帯:建物所有者の世帯全員が、過去2年間、市民税の課税を受けていない世帯
- その他、細かい注意事項や、その年度ごとに期限がありますので、詳細は名古屋市のHPを確認してください。
制度の最新情報・詳細はこちらからー名古屋市HPリンク
注意事項 ー弊社の過去の工事事例からー
この耐震改修助成制度は木造住宅を対象にした制度で、昔の建物の中には稀に、大きなスパンを飛ばした部屋などで、鉄骨の梁を在来工法と組み合わせて作られた住宅があります。
弊社もそのような案件でご相談があり、耐震化支援室に相談したところでは、鉄骨梁が含まれる住宅についても1本までなら「木造住宅」として認めますよ、という判断がありました。もちろん個別事例になるので、自治体担当課にその都度確認することは必須ですが、その時においては、2本以上の鉄骨材が含まれていると「木造住宅」という扱いではなくなってしまい、助成制度が利用できなくなるケースもあるとのことでした。建築当初の図面等に記載があり、事前にわかっていればよいのですが、昔の建物は図面の通りできていないこともありますので、精密診断法による調査時に、しっかりと住宅の構造や、図面との整合をチェックしてもらうことと、お住いの自治体の担当課に事前に相談・確認することが大切です。
ー工事完了の時期についてー
補助金交付を受けるためには、その年度の決められた期限までに(名古屋市は2月末)に工事完了報告ができないと、自治体も決済ができないため補助が受けられなくなります。規模によって工事を行う期間も変わるため、工事を行う業者と、工事時期についても相談しましょう。
ー工事を始める前にご確認くださいー
補助金を利用して耐震改修工事をする場合は、自治体の手続き・申請が先行し、交付決定を受ける必要があるので、補助金の交付決定前に工事契約・工事着手をしないことが重要です。
「耐震工事っていくらくらいかかるの?」
名古屋市公式のQ&Aでは、耐震改修助成を利用した住宅の耐震改修工事費は、リフォーム工事を除いて150万円~250万円程度が多いとされていますが、実際の費用は建物の状態や、補強内容によって異なります。
ただし、この金額は耐震改修工事部分の費用の統計で、耐震改修工事以外のリフォーム等は含まれていないことに注意が必要です。
耐震補強と同時に大規模なリフォームを行う場合は、工事内容によって総額が大きく変わります。
久野工務店は直接工事店であるメリットを生かし、ご予算の範囲内で、お客様にとっての最適なプランをご提案致します。
まとめ
今回ご紹介したのは、弊社所在地の自治体である名古屋市の助成制度となります。上手に利用し、少しでもお得に耐震改修をしましょう。
耐震診断から耐震補強工事におけるポイントは4つです。
- 耐震補強設計や補強工事が得意な専門家に相談する
- 耐震診断を受ける(建てられた年代、その他要件によっては自治体で無料で受けられる)←STEP1ページで確認
- 診断結果を踏まえ、耐震改修工事が必要なら目標値と予算を確認して補強計画に入る(建てられた年代、その他要件によっては、設計助成制度が受けられる)←STEP2ページで確認
- 補強計画の内容と工事の予算の折り合いがついたら工事契約、工事着工(建てられた年代、設計内容、その他要件によっては、助成制度が受けられる)
耐震補強と一緒にリフォームもできます
木造住宅の耐震性の不安については、木造住宅のプロに相談・依頼するのが1番確実です。
新築だけでなく、幅広い年代の木造住宅のリフォームにも携わってきたからこそ、さまざまな住宅トラブルにも対応可能な技術力があります。
久野工務店は設計も施工も自社で行うため、久野工務店ならワンストップで完結します。
「耐震補強をすると、家の中はどれくらい変わりますか?」
工事内容によって異なりますが、壁や床を一部解体して補強するケースがありますし、逆に天井や床を残しながら補強する工法もあります。
工事範囲や生活への影響をできるだけ抑えられるよう、工法や工程を検討します。
「せっかく耐震補強するなら、キッチンや風呂も新しくしたい」
耐震補強のついでにその他リフォームも可能ですし、逆にその他のリフォームのついでに劣化したこの部分を補強工事しましょうか、などの部分的な修繕・補強についても、ご提案も可能です。
「無料耐震診断の対象ではないけれど、自分の住宅は大丈夫だろうか?」
有償にはなりますが、久野工務店でも耐震診断をすることは可能です。
「住みながら工事はできるのだろうか?」
可能な限りご要望に寄り添った、工法、工程を考えることはできますが、耐震補強の規模や補強の内容によっては、引っ越しをお勧めすることもあります。
耐震補強を考え始めたら、まずはご相談ください
他のリフォームしたいと思ったときが耐震補強工事のきっかけになることもあります。まずは耐震診断で家の耐震性を知ることから始めましょう。
「耐震診断を受けたけど、そのあと何をすればいいのかわからない」「補助金を利用できるのか知りたい」「耐震補強とリフォームを一緒にしたい」
そんなご相談でも構いません。ご相談は下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。
創業120年の実績と経験でお答えします。